デッサンにコツはあるのか

 それでは最後に、デッサンにコツはあるのかを考えてみましょう。残念ながら、これさえ知ってさえおけば、確実にデッサンが上手くなる、そんなコツはありません。ただし、上達する近道はもちろん存在します。あくまでも私見ですが、いくつか紹介して行きますね。
 まずは輪郭を捉えるよりも、明暗と物の厚みを意識しましょう。もちろん中には、物を見ただけでアウトラインを捉えることができる人もいます。ですが、誰もがそうとは限りません。正しいアウトラインが見えるまで、光が当たっている場所、影ができている場所を見極めて考えながら描いていくほうが簡単です。
 次に下手な絵を描いてしまうコトを恐れないで下さい。自分でなかなか満足できないデッサンになってしまい、途中で嫌になってしまうこともあります。それでも、デッサンが狂っていたり、バランスが悪かったり、そうした反省点をしっかりと自分で見極めることも上達していくためには必要なことです。
 物の形を上手く捉えられない、そんな場合にはトレースをしてみるのもいいでしょう。もちろんトレースだけを続けていても上手くはなりませんが、実際に描いてみることで脳内が間違えて覚えてしまっている物の形を修正することができます。薄手のトレーシングペーパーなどで、写真やグラビア、好きな絵などを写し取るだけでも学ぶことはあるのです。
 それから、自分が好きな物を描く、というのも実は重要です。好きな物を描くときほど、集中力が上がりますし、何よりも楽しく描くことができます。もちろん好きなものだけを描いているのでは、描けないものは描けないまま、という事もあるのですが、好きなものほど上達が早いのも事実です。8割好きなものを描き、2割苦手なものにもチャレンジするのがいいですよ。
 そしてやはり、できるだけ楽しんで描くことが大きな要素になっていきます。人は楽しいことほど上達が早い、これはデッサンに限らず、何にでも言えることです。もちろん時には苦しいことや悩むことはあるでしょうが、どんな時でも楽しもうという気持ちを忘れずに持っていて下さい。

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