デッサン力とアート

 デッサン力に優れ、まるで写真のように見える絵、こうした絵を書くことができる人というのは確かに存在します。ですか、そのようにデッサン力に優れた人達が描く絵が、魅力的に見えるかというと、必ずしもそうではありません。上手い絵イコール、魅力的な絵ではないのです。それでは魅力的な絵をいうのは、どんなものなのかと言うと、やはりアートとして成立するかどうかになると思います。
 アートという言葉は、もともと人工的に作られたものを指す単語でした。今では芸術イコールアートという認識が一般的でしたが、もともとは技術だったわけです。技術で人が感動するということももちろんありますが、それはやはり芸術とは異なる意味合いを持っています。人を感動させる絵、アートはデッサン力だけでは描くことができない物なのです。極めて写実的な絵を描くことができる人がいても、単にリアルな絵というだけであれば、それが写真ではなく絵出なければいけない理由は存在するのでしょうか。アートは、それだけではなく、プラスアルファがあったり、場合によっては全く写実的な表現のない抽象的なものだったりもします。はっきり言ってしまえば、個性がなければ、デッサンはアートにはなりえないのです。デッサンにプラスアルファの力が加わった時、その絵はデッサンであってもアートに近付いていくはずです。

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