表現力とデッサン力
絵画やイラストなど、その表現力はデッサン力だけでは判断できるものではありません。残念な話なのですが、どんなにデッサン力に優れていようとも、魅力のない絵というのは存在します。もちろん絵を見る側の好みも関係してしまうのですが、それよりも大きく絵の魅力に影響を与えるものが、表現力です。それでは表現力とはそもそも何を指すのでしょう。これは文章で言えば、いかに他人に分かりやすく、理解しやすく伝えられる文です。自分以外の誰かに、自分が持っている情報を伝達する、これが上手いということであって、表現力があるということです。絵画の場合は、説得力があるかどうか、だけではなくやはりより魅力的なものが、表現力があるといえます。同じものを同じ程度のデッサン力をもった人が描いても、そっくり同じにはなりません。より多くの人に魅力を感じさせることができる絵というのは、やはり表現力のあるなしで差が出てきます。
もともとデッサンは、ありのままに見える通りに描くのが正解です。ですがデッサン力が上がっていくことは、そのまま表現力を高めることには繋がらないのです。むしろ表現力を上げるため、絵の魅力を引き上げる貯めの手段、その方法のひとつがデッサンであるに過ぎません。ですからデッサンだけにこだわってしまうと、今度は上手いけれどなんだか魅力のない絵が出来上がってしまうことのあるわけです。もともとデッサン力を上げたい、と考える人は、絵を描くことに何らかの魅力を感じ、自分の中にある何かを表現するための方法として絵を描くことを選んだのではないでしょうか。デッサンはあくまでも基礎力です。デッサン力さえあれば、いい絵がかけるというわけではありません。どうしたら自分が描きたいもの、魅力を感じたものを、人にも伝えることができるのかデッサンをしながら考えてみて下さい。