スケッチとデッサン力
スケッチは、短時間で物の特徴を捉えてラフに描くことを指します。狭義には風景などの視覚情報を絵で保存することそのものを指しますが、広義では見取り図や文章としての小品、写生文、単語としては概略なども意味します。スケッチとは、絵に限らず、何らかの方法で風景などのおおまかな情報を残すことと言えます。
デッサンは、通常より細部まで煮詰めていく方法ですから、大まかに描いていくスケッチとデッサンは、全く異なる絵の描き方でもあります。ですが、デッサン力を上げていくためには、デッサンだけではなくスケッチも大切です。小学生のころ、誰もが経験した写生、その当時もやはり絵の上手い人、下手な人はいたはずです。絵の描き方を誰かに教わったわけでもない子供であっても、絵の上手い下手が別れるのは別に生まれつきの才能の差、だけではありません。何といっても観察力で差が出るのです。物事を良く見ている人、というのは、細かな視点だけではなく、大きな視点でも物事を観察できる人です。葉っぱ一枚を精緻に描写する能力も必要ですが、木全体、森全体を見る能力がなければいけないのです。パーツひとつが上手であっても、全体を組み合わせた場合の全体像が正しくなければいけないのですね。例えば人物デッサンをした場合、「目」や「口」など、一つ一つのパーツが上手く描けずに行き詰まってしまう人がいます。こういう人が、部分部分は細かに書き込まれているのに、人物全体を見るとデッサンが狂っている人、になりやすいのです。
スケッチは、まず全体を見る目を養うという利点があります。そして数をこなすことで、構図の選び方も成長して行くことになるのです。